松田:おれ明石さんと話したかったことがあったんですよ。
明石:あ、そうなんですね。
松田:いやまあ、だとしたら信心足りなめですけど…なんか前にインスタのストーリーで見たんですけど、
明石:あー、はいはい。
エルメスの職人、ちゃんとこれバーキンと同じ気持ちで作ってんのかな
松田:それで聞きたかったのがね、物を買うとき一般の話なんですけど、
明石:それでいくと、普段は最初から天井にいくんですけど、エアタグに関してはちょっと悩ましかったんですよ。要はこれが本当におれのキーチェーンに収まり続けるのかどうかが分かんなくて。
松田:はいはい。まあダサいですもんね、普通に。
明石:で、その結果すごく失敗だったなと思っていて、結論としては2週間くらいで辞めちゃったんですよ。
松田:あー、なるほどね。
明石:そしたらそうこうしてるうちに、あのエルメスのやつ、外れちゃうとかなんとかで販売中止になっちゃったんですよ。だからなんだろうな…じゃあ最初からあっち買っておけばよかったじゃん、っていう。もう何も良いことなくて。
Hermès AirTag unavailable in any version; possible quality issue – 9to5Mac
松田:あ、そうなんですね。てか、そもそもなんでこの話が出たかってとこなんですけど…中垣とかもこれ分からん?
中垣:いや、分かるよ。ただおれはエアタグにエルメスのがあったのも知らんかったけど、普通のやつとは何が違うん?
松田:ガワがエルメスってだけやな。ただまあ「エルメスでキーホルダーを買うんならこれの方がよくね?」っていう人がいるかもしれんとはちょっと思う。
中垣:あー、まあ確かに。
これの構造が知りたくてバラバラにするためだけに買った話、またいずれしますね
Carmen Uno-Dos key ring – Hermès
松田:ほんで、まあ物を買うだけじゃなくて作るときとかもそうやねんけど…例えば
明石:笑
松田:だからこれ、どう考えてもまずはシルバーで5~6回練習して、間違いなくいけると踏んでからゴールドで製作するべきやん?
中垣:うんうん。
松田:でもおれは、一回あたり2万円分の材料が必要なこのピアスのために、延々と金を買い続けてるわけ。こんなん意味分からへんやん…なんだけれども、
中垣:はいはい。
コトハ:「これ思ってたのと違うじゃん…」ってなっても全然いいんだよね。仕方がないというか、むしろ違った方がいいの。
松田:はいはい。
コトハ:想定したようにやって想定した通りの結果になったらそれだけの経験しか得られないけど、想定した通りにいかなくて初めて、どこでどうなったとか、それで自分がどう思ったとか、どうしたらよかったのかとかが考えられて…そっちの方がたぶんオリジナルなのよ。
松田:いやー、うんうん。そういうスタンスの方が、結果としてはより生々しいリアリティが作ったものに反映されますよね。
コトハ:そう。その生々しさを追求すると、偶然性は受け入れていくしかないんだよね。
中垣:そうですよね。
Source: commmon
松田:それでエアタグだって、「これもしかしたらしっくりこなくて着けなくなるな」って思ったらとりあえず安いやつで試してみたりするべきやねんけど、とは言え普通のやつを買ったとて「あれはあれで別かもしれん」って気持ちになって、そっちを試すまでは有りか無しかが判断できひんみたいな話ってあるわけやん。
中垣:まあそうやね。なんか…
松田:そうそう。
中垣:まあそれはあるよなぁ。
松田:それでもまあ物を買うとかならそれでいいのかもしれへんねんけど、
中垣:ちょっとさ、JINSでサングラスを買ってんけど…
みなと:へー。
松田:これでなんぼすんの?
中垣:5,500円にカラーレンズ代が3,300円かな。ただこれ、カラーレンズじゃない方が良かったなとは思ってて。
松田:はいはい。
中垣:なんかギーク感が欲しかって透明のフレームにしてん。それこそトム・サックスとかも着けてるけど、マッドサイエンティスト感というか…
Source: commmon
中垣:まあ物による…と言ったらつまらんねんけど、それこそなつきに自転車買わせたときとかはさ、まずはマウンテンの完成車がいいよねって話になって、いいやつなら20~30万円は平気でするけど、とりあえずは数万円のでいいでしょって言って買ってんな。それとかも、
明石:はいはい。
絶対思ってない
中垣:そういう使うことが大事な物とかやと、特にリアリティが大事だと思ってて…あとは工具とかもそうやんね。
明石:だから、
松田:はいはい。
明石:だから自撮り用の三脚とかも、別にうねうねした安いやつとかで事は足りるはずなんだけど、
松田:笑
中垣:てか前にクラブハウスでも話してたんですけど、男はCNC削り出しに弱過ぎるんですよね笑
明石:自転車だとね、トムソンとかのヘッドパーツが好きだから。
中垣:笑
明石:で…なんだろうな、それを使わないとやったことにならない、みたいなのがあるんですよね。
松田:うんまあ分かるけど…だからあれやね、
中垣:そうやんね。
松田:あるいは逆に、
デザイヤーで買ってるくせにプラクティカルにそれが必要だって顔するやつ、こいつが一番の嘘つきやね
明石:ええ、ええ。
松田:それで…おれのこのピアスに関しては、こういうピアスが欲しいっていう
松田:お金で物を買うときってさ、その行動の根源にはデザイヤーみたいなものがあるわけやん。でも一般的にお金の話になると、デザイヤーから切り離された数字だけの話になっちゃってて、だから元を取るとか、同じ額で購い得た他の価値と比べるみたいなことになっちゃうねんけど、デザイヤーベースで言うとそんなんどうでもいいことなはずやんな。
中垣:そうやねんそうやねん。デザイヤーの実現手段として払ったお金に関しては、それは払った以上それで終わりの話やねん。まあ確かに、例えば今日は70円の豆腐でいいやと思って買って、それがいつも食べてる100円の豆腐より大幅に不味かったらそれはムカつくよ。
松田:うんうん。
中垣:それは別にデザイヤーじゃないもん。インフラ的なお金の使い方、期待している分だけパフォームしてくれよっていうお金の使い方やから。
Source: commmon
中垣:だからそうやね、ほんまは自分で作らへんのがいいよね。それを一番綺麗に作ってくれるところに作ってもらうべきやねんな。
松田:そうやねん。そうやねんけど…でもこんなん作ってるやつ絶対におらんから、自分でやるしかないねんな。
中垣:まあそういうことやんな。
全周完璧なトーラスのピアス、作れるって方はご連絡ください
明石:うーん…例えば動画制作だったらロケハンっていう工程があるんですけど、実際に場所を見に行ってそこで撮ってみてっていう、要は峰打ちみたいな感じなんですよ。
松田:はいはい。
明石:それがあるから、本番でお金かけて撮ってもまあ外さないんですよね。
松田:ロケハンやと思えばええんか。まあ一応は肯定される気はするけど…でも一方でね、
明石:あー、なるほどね。なるほど。
松田:製作に着手した数時間後には着けていたいわけ。
中垣:まあそうやんね。
松田:だから今日はとりあえずシルバーで作って、その一週間後にゴールドで本番やりますって…
明石:笑
中垣:だからやっぱり、デザイヤー的な物を作るべきじゃないとは思うね。
いや、治具作ってる時点で何か作る気じゃん…
治具/ジグ(英語:jig)は、加工や組み立ての際、部品や工具の作業位置を指示・誘導するために用いる器具の総称。「治具」という日本語は同義の英単語 “jig” に漢字を当てたものである。
Source: Wikipedia
松田:はいはい。
中垣:家具を作るのとかだってさ、完璧を目指すともうしんどくなるやん。いくら綺麗に見えても
明石:分かる笑 あとは松田さんみたいに物を作るということに関してなんですけど、僕は自転車がすごく好きで、サーリーとかに80万円かけるタイプなんですよね。
松田:はいはい。
中垣:あれやっぱそれくらいしますよね笑
一度も回されたことのないカプラー
明石:でもこれは作るまでが一番楽しいんですよね。「このパーツとこのパーツと…」って。
松田:やっぱりそうでしょ、あの自転車絶対に全然乗ってないですよね。
明石:うん、全然乗ってないですね。
中垣:笑
明石:だからまあ…そう考えると、逆に完成させないことの楽しさとかはないんですか?
松田:いやー…まあないかな。言うてもデザイヤーやし。
中垣:でもさ、松田は最近いろいろと自分で作ってるけどさ、世の中にそういうものがないからっていうのはもちろんあると思うねんけど、それ以外に作る楽しさみたいなのは感じてないん?
松田:作る楽しさか…まあそんなんないわな。あったら買いたいに決まってる。
明石:笑
中垣:でもさ、手を動かすことで何かしら解像度は上がってくるわけやん。「このチェーンはここがこうで~」みたいな。
松田:あー、まあそれはあるねんけど、でもデザイヤーとはまた別のところの喜びやねんな。
中垣:だから、それこそおれが部屋をいじるみたいに、スタディだと思いながら70~80%の完成度で作って、嫌になったらすぐ壊すみたいな、それはそれで心地良いわけやん。
松田:まあそれで言うと、そもそもこのピアスは
明石:なるほどね。
松田:だからやっぱり、このピアスに関してはいったん外そうかな。
まーた素材買ってきて作り直したそうです
中垣:じゃあこれは? 完璧なトーラスをどこかに作ってもらって、
明石:笑
松田:良いわけがない笑 まずもって耳の美観を損ねてまうねんな。
明石:なんかそれで言うと、僕は絶対に自分で作りたくないタイプで、人にやらせる方がいいんですよ。
松田:あー、はいはい。
明石:だから自転車の組み付けも絶対に自分ではしないんですよ。
中垣:あ、じゃあ全部お願いするんや。おれは組むのが好きで…というかそれがしたいねん。
松田:まあでも明石さんの気持ちは分かるよ。80万円かけて作った自転車に10kmも乗らへんやつが自分で組んだら、そら絶対にモヤるよ。
明石:笑
松田:「レバーのストロークが…」とか「ボルトのトルクが…」とか、絶対にモヤモヤし続けるよ。やっぱ完成品として、
松田:同じ理由でバッテリーの交換も絶対にしたくないし、ディスプレイパネルの交換も絶対にしたくない。一度でも開けると中のパーフェクションが損なわれるやん。人の手が入るからさ。
中垣:笑 まあ人の手で組み立てられてるんですけどね。
松田:だから中国の工場で何が起こってるかはおれは知らんことになってる。
中垣:なるほどね。最初から完璧な状態で生まれてきたものなのね。
Source: commmon
明石:あー、そうそう。僕は工場出荷状態がめっちゃ好きなんですよね。だから松田さんみたいに欲しいピアスがないってなったら、おれだったらまず職人を探すと思うんですよ。
松田:あー、はいはい。
明石:それで「こういうのをこういう材料で」ってなるんだけど、そこは
松田:まあ自分でやる方が安いというのはありますし、あとは何より、
明石:なるほどね。
松田:おれが今こだわってる部分って正直なところ、言っても誰も分からんと思うねんな。まあ ピー さんに頼んだら、あるいは全く違うアプローチで解決してくれたりはするんかもしれんけど。
中垣:じゃあ…仮にそのレベルの人が横にいたら、それはもうその人にやってもらう?
松田:うん、間違いない。
明石:笑
松田:でもまあ確かに、
中垣:まあそうやなぁ…でもある意味ではすごいことやんね。世の中にあるものを見てそれが欲しいと思うんなら分かるねんけど、
松田:あー、まあ確かに。
“Strive for perfection in everything you do. Take the best that exists and make it better. When it does not exist, design it.”
― Sir Henry Royce
Source: goodreads
これってそんな重い言葉だったんですね
Quote by Sir Henry Royce – goodreads
中垣:それはもう…確信やん。世の中には無いのに「あれが欲しい」って思ってるねんで。
明石:
中垣:笑
2021年6月6日
Aux Bacchanales 紀尾井町
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