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【シリーズ】原発事故からの復興の現状 #4

福島第一原発の敷地と帰還困難区域への立ち入りを通して、原発事故とその復興について、机上では得られないリアリティを知ることになりました。

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2020年11月22日と23日の二日間、commmonでは福島への視察旅行を実施しました。原発事故からの復興の現状をお伝えします。

映画『Fukushima 50』

福島 富岡町 夜の森 桜並木
Image: gosuke429/GANREF

福島県富岡町夜の森の桜並木 – GANREF

太郎:ここは桜並木が有名な、『Fukushima 50』にも出てきたところだね。

  Fukushima 50 – Prime Video

松田:へー。ところであの映画おもろいん?

太郎:まあまあいい映画だったとおれは思うよ。

松田:そうなんや。

太郎:当然エンターテイメント化はされてるけど、ここまで過酷だったんだなっていうのはいい感じに伝わりやすいと思う

松田:なるほどなるほど。

太郎:地元の人間が東電の社員になって、地元の人が地元のために対応してたんだなって感じが伝わるね。

きむ:あー、てかそうだったんだ。

太郎:そうだね。社員は地元の人達が多いよ。


大熊町

大熊町役場新庁舎
Image: ypmc

大熊町役場新庁舎 – ypmc

太郎:これは大熊町役場だね。

大熊町公式ホームページ

きむ:すごいね。

松田:ばり綺麗やん。これは公務員になりたいと思えるな。

嘘をつくな

太郎:この役場は大変だよ? 新庁舎はちょうど一年半くらい前にできたのかな。

松田:はいはい。

太郎:で、この奥には学校とか銭湯もできたりして、この町でも暮らしていけるんだよっていうことを示すための計画になっている部分もあるよね

​大熊町 大川原地区 復興公営住宅
Image: HACO PLUS DESIGN

大熊町大川原地区(戸建住宅1期)復興公営住宅 – HACO PLUS DESIGN

大川原地区 – 経済産業省

きむ:すごいな。

太郎:ちなみに今は学校は会津若松に避難してるんだけど、そこでは基本的にタブレットで授業をするように切り替わっていたりする

AI教材で個別学習支援 福島・大熊中、7月導入 – 河北新報

松田:へー。

太郎:で、今目の前にあるのがこの辺りでは唯一の商店で、そこのダイニング大河原もこの辺りでは唯一の飲み屋。

ダイニング大川原|福島県双葉郡大熊町

みなと:なんかすげえな。

太郎ここって元々はそんなに人が住んでいたようなところではなくて、ぽつぽつと民家と田んぼがあったくらいなんだよね。

松田:うんうん。

太郎:で、先に避難指示が解除できるんであればそこで町役場機能を復活させるべきだってことになって、作られた一帯なんだよ。

みなと:なるほどね。

松田:でもまあさ、一回サラになってしまったんであれば、それこそタブレットを導入するとか、ゼロベースで考えられる感じはあっていいよね。

太郎:そうだね。

きむ:他の町役場も、元の建物が大きく損なわれたところは新しく建ててるって感じなの?

太郎:いや、基本的には元の建物を使ってるんだけど、ここと双葉町に関しては元の場所に避難指示が出たままだから、今はちょっと元の場所に戻ることはできないよねって感じ。

松田:双葉町は今どうなってんの?

太郎:双葉町の役場は今はいわき市にあるね。

ホーム| 双葉町公式ホームページ

松田:へー。


拠点区域外の帰還困難区域

帰還困難区域 立ち入り
Image: common

松田:これもう入った?

太郎:入ったね。ここが特定復興再生拠点区域にも含まれていない帰還困難区域

c 【シリーズ】原発事故からの復興の現状 #1

みなと:じゃあもう本当に入れない場所なんだ。

太郎:住人が家の手入れとかのために帰ってくる一時立ち入りはできるけど、農地とかは完全に放置されてるよね。

松田:そうか、これ農地か…

帰還困難区域 立ち入り
Image: common

原野にしか見えなかった

太郎:線量計も他の地域よりは高い数字だと思う。

みなと:車内だと毎時0.6マイクロシーベルトとかかな。

太郎:車外で、帰還困難区域のさらに奥の方とかだと、もう少し高くなるかもしれない。

帰還困難区域 線量
Image: common

帰還困難区域のうち特定復興再生拠点区域に指定されていないエリアで、地面の至近に線量計を向けるとこれくらいでした。線量計の数字は地面からの高さや気象条件などによって大きく変動するので、この値はあくまで一地点で、しかも地面の至近で観測されたものに過ぎないことには注意する必要があります。

松田:へー。でもなんか、中に入るにあたっても全部細かいルールがあるのすごいよな

太郎:決めちゃったルールだからそれ通りにやるしかないんだけど、実際これ何なんだろうと思うことはあるよね。別にこの線量で人の健康にクリティカルな影響が及ぶわけでもないのに。

松田:まあそうやんな。

太郎:この辺りの地区は、一定以上の人の営みが行われていた中では比較的線量が高い方だと思われる

松田:へー。

太郎:東京と比較したら空間線量がどうしても高いエリアではある。だからまあ、こんなところに素直に住めるわけないだろという方の気持ちも分かる

松田:なるほどな。まあ数字の意味はともかく、数字が上がったのが事故のせいなのには間違いないからな

太郎:そうそう。


汚染土を積んだトラック

福島 汚染土 トラック
Image: common

太郎:さっきから汚染土を積んだトラックが頻繁に通ってるんだけど、理由としては除染土を置いている仮置場から中間貯蔵施設への運搬が進んでいるというのもあると思うんだよ。

きむ:あー、なるほどなるほど。

松田:確かにね。


福島第一原子力発電所の中

中垣:建屋に入る扉やねんけど、二重になってて片方ずつ開いて入るようになってるのね。

松田:はいはい。

中垣:で、片方の扉しか閉まっていないと音楽が流れるようになってて、その音楽が扉ごとに微妙に音階がずれてるねん

きむ:それは何のために流れてんの?

中垣:いや知らん。なんしか内側の扉と外側の扉のどっちもが閉まってると、音楽はひとつだけ流れるようになってるねん。

みなと:そしたら綺麗に聞こえるんだ。

松田:あー…扉を開放しっぱなしでいることに違和感を覚えるような作りなんかね。

中垣:それがすごい頭に残る音楽やねんけど、建屋から本部に戻るまでの車の中で脇山がずっと歌ってんの。

太郎:笑

中垣:頭おかしいんかなって。

脇山:笑


原発視察のキーマン

脇山:木野さんがめちゃめちゃ解説してくれたね。

山岡:ほんと、何聞いても教えてくれたよね

松田:へー。

太郎:あの人、世界でも5本の指に入るくらい福島第一原子力発電所に詳しいからね。

経済産業省 木野正登
Image: エネ百科

スペシャル対談 ~前編~ 廃炉・汚染水対策の現地から復興を支える – エネ百科

中垣:そうなんや。でもほんまに十分なくらい、聞きたいことは全部聞いたで。

太郎:彼は事故以来ずっと福島にいるしね。

中垣:なんか東大で原子力の研究をしてたらしいね。アメリカが原子力空母を初めて日本に配備する際の日本のモニタリング体制を強化する検討にも加わったって言ってた。

きむ:笑

松田:すご笑

太郎:彼はガチだよ。

松田:なんかあれやな、どれだけ裕福でも手に入らないものとして原子力空母があるなって考えたことがあるねんけど、それを相手に仕事ができるって夢あるな。

太郎:笑

中垣:確かにな。

松田:だからやっぱり、官僚ならではのレバレッジって確かにあるよな。

要は一億二千万人を説得しなくても数十人さえ説得すれば物事を動かせるというのはあるから、そこはおもしろいかなという気はする。

Source: commmon

c 経産省のしていること


廃炉の難しさ

福島第一原子力発電所 一号機
Image: commmon

中垣:一号機を上から見下ろすとさ、爆発して吹っ飛んだ建屋の残骸とかが上に乗ってて、「これ普通にどかしたらいいんじゃね?」とかぱっと見は思うわけよ。

松田:はいはい。

中垣:でもそういう質問をぽんぽん投げるたびに、そのひとつひとつに対して「いや、そうするとこういう問題があって…」って、何をするにも問題が出てくるねんな

松田:あー…

中垣:爆発した一号機の上に乗ってる構造物だって、クレーンでチャチャっとどけたらよさそうなもんやねんけど、その構造物自体も放射能で汚染されてるし、それをどけるときに周りが崩れたらそのことで放射性物質が舞い上がるしで…

松田:あ、なるほどね…

中垣:だから万が一にも周りが崩れへんように確認してからじゃないとどけられへんらしいねんけど、たぶん全部スキャンして、力学的なシミュレーションをしたりするんやと思う。

松田:まじかよ。

排気筒の解体でさえ、高さ18メートルの模擬施設を使った実証試験が事前に行われています。

中垣:元々建屋の上にはUFOキャッチャーみたいに燃料棒を出し入れする結構でかいジブクレーンがあってんけど、そいつが爆発で倒壊して、そのままになってるみたいなのね。

福島第一原子力発電所 一号機 天井クレーン 落下防止対策
Image: 原子力産業新聞

1号機使用済燃料プールからの燃料取り出しに向けては、原子炉建屋内既設の天井クレーンや燃料取扱機の落下を回避するため、これらを下部から支える支保の設置が11月24日に完了した。これにより、今後のガレキ(崩落した屋根など)撤去に際し、変形した天井クレーンや燃料取扱機の落下によるダスト飛散や燃料損傷などのリスクを低減する「ガレキ落下防止・緩和対策」が完了したこととなる。

Source: 原子力産業新聞

福島第一、1号機使用済燃料プールで天井クレーンなどの落下防止対策が完了 – 原子力産業新聞

松田:はいはい。

中垣:それをまず切断して撤去しないといけない。それさえどうやったらいいのか分からないのに、その先には燃料棒もデブリもまだまだ残ってると

松田:えぐいなぁ。

中垣:「2051年までに廃炉とは言ってますけど、いつ終わるかはちょっと分からないですよね」って言ってたわ。

松田:すごいな。

中垣:でもね、「いや、そうっすよね…」って感じやったで。

山岡:うん、ほんとそんな感じだったよね。

中垣「人類は大きな過ちを犯したようだ…」みたいな気持ちになったわ。

2020年11月23日
福島県

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