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思索

言ったことには責任を持つ、責任を持てないことは言わない

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中垣:どう言ったらいいか分からんねんけど…言葉の力みたいな話でさ。

松田:はいはい。

中垣:「これはこうなんだ」っていうステートメントを読んで、本当にそうだと思ってそれが具体的な行動に反映されるみたいな、そういうことってあり得るんだろうかというか。いや、まああるとは思うねんけど…でもそういうことがずっと気になってる。

松田:うんうん。

中垣:それがその、あんまり喋りたくないっていう最近の態度にも通ずるんだけど。

松田:まあな…しかし一方で、これこそはと思う物を店に並べて、あるいはサービスを提供して、それをどうしようもない客が買うことと比べて、なんぼかましな気もするけど。

中垣:それはどういう理由で?

松田:あー…というより、言葉による行動変容なんて無理でしょと言うんであれば、それは他の、もっと具体的っぽいはたらきかけにおいてもそうなんじゃない?っていう感じかな。例えば理想的な家具を作ってそれを買ってくれる人がいても、それはそれだけやん。

中垣:あー…

松田:きちんとした家具を買うことによって彼の目が覚めて、賃貸のふざけた床を剥がそうと思うに至るのであればそれは素晴らしいことなんだけど…

決して素晴らしくはないね

松田:でもそれが起こり得るっていう想定は、言葉によるはたらきかけが具体的な行動変容につながるっていう想定と…まあ高いのか低いのかは知らんけど、同じくらいのハードルなんじゃないかとは思うよ。

中垣:うん、それは一緒やと思う。それはパシフィックファニチャーだってイッシーだってルイヴィトンだって同じで、別にクリアできてないとは思うねん。

松田:うんうん。

中垣:ただ…とは言えさ、お客さんの行動変容に最後までコミットするなんてそりゃ無理なわけで、そこでマッチポンプ的につけ込むのが気持ち悪いわけやん

松田:うん、そうやんな。

ローランド、次は絶対呼ばれないでしょ

c 富と名声の罠

中垣:でも別に、例えばパシフィックファニチャーにはそういう気持ち悪さって感じないやん。彼らはこれがいいと思う家具を作って売っているだけで、それ以上のことはできないし、それができるふりもしていないわけやん。家具を作って売るんだっていう、そういうスタンスを取れているわけ。

松田:うんうん。

中垣:だからそれはいいと。つまり…まあ諦めっていうとおかしな話なんだけど、でもあるところから先は相手の問題なんだから、できるところまでをするしかないわけやん。小説家は自分がもっとも良いと思う小説を書くけど、それを読んだやつが性犯罪を起こしたとしても、それに責任を取ったりはしないと。

松田:分かるよ。

中垣:そういうふうに、明確にポジションを取るしかないというか…まあそらそうなんやけどね。

松田:うんうん。

中垣:それでまあ、そうしたときに…いや分からん。こんなこと言っても仕方がないねんけど、でも自分の中でまだ納得しきれていない部分があって。あれとかとも近いんかな、家電の耐用年数をわざと短く設定しておくみたいな。

松田:なるほど。

中垣:いやー…なんなんやろうな。

松田:ただそれで言うと今の commmon は、一度読んだからといって、それを半ば強制的に継続しなければいけない構造にはなってないで。

中垣:お金とってないしね。

松田:そうそう。まあ…でも分かる部分はあるよ。パシフィックファニチャーが買い切りなのはいいというか、責任のリーチが明確やもんね。買った家具、それだけ。

中垣:なんか…これは作品ではないっていうのがひとつにはあるのかな。家具を作っているのなら、その物までが責任の範囲やん。

松田:はいはい。

中垣:でもおれがここで話したりするのは、何かこう素晴らしいことを言うだけが目的ではないというか…やっぱりこれは作品ではないわけよ。

松田:うんうん。

中垣:そうである以上、家具と同列にはできない感じがあるというか。ただいずれにしても最後は読み手の問題っていうのは、それはそう思うんだけどね。

松田:うん。

中垣:そういう中で、自分はどういうポジションを取れるのかというか…そういうことは考えているな

松田:まあなるほどな。

中垣:でもやっぱり、自分が言ったことには責任を持つし、責任を持てないことは言わないみたいな、そういう態度が大事なんかなというか。だって…例えばここで名前が出てくるような本を読んでても、その著者はその内容に責任を取っている感じがあるやん。

松田:はいはい。

中垣:でも、ここで自分が話している記事の中には、言い訳をしているような記事もある気はするねんな。あるいは自分に対して言いたかったような内容を、さも世の中はこうだからだめだみたいな口調で言っている記事とか。

松田:うんうん。

中垣:それが責任を取っていないってことかなって。でもそうじゃなくて、自分のことであれば「これはおれの話なんだけど」って言うべきやし、そこを適当にすり替えて見栄えのいい話にするのはいけないなって。そこはすごく思ってる。

松田:なるほどなぁ…そういうふうになってしまう部分がある、それは何によるものなん?

中垣:おれがってことやんね? まあ…答えにはなっていないけど、言いたがりになっていたというか、自分の発言がそれなりのオーディエンスに影響力を持っていることの快感というか。

松田:うんうん。

中垣:別に頭はかしこいから、人が「あ、確かにそっか」って思うことを言えちゃうわけよ。そこに快感があったんじゃないのかな。

松田:はいはい。

中垣:そこで、ある意味公私の混同みたいなのが…あったんじゃないのかな。でも思い返しても、そういう動機でしゃべっていることは結構多かったよ。

松田:はいはい。

中垣:もちろんそうじゃないものも全然あるけどね。認知の膜とか、あれは別に言いたがりで言ってたわけではなかったし。

松田:それは分かるよ。あれ、言いたがって言うにはややこしいし笑

c 二種類の認知の膜

c 認知の膜の拡げ方

中垣:あれは「こう思ったからみんなちょっと聞いてほしい」って感じやったし、あとは最近の捉え返しの話も、あれは自分の話やし実際にそう言ってるからよかったとは思うねんけど。

松田:はいはい。

中垣:自分はこれまで…勉強をしなさいとか仕事をしなさいとか、そういうのを社会的要請として嫌々ながらこなして、その代わり余暇の時間に、抑圧されていたやりたいことをして過ごすみたいな感じだったというか。

河東:うんうん。

中垣:要は、 マイナスがある代わりにプラスがあるみたいなのに体が慣れ過ぎていて、ゼロベースで自分にとってポジティブなことをやっていくことを知らなかったと。

河東:バネ外されたら飛べなかったみたいなね。

Source: commmon

c 「今持っているものは全て自分が獲得したものだっていう、そういう捉え返しをしようと思ってるねん」

中垣:でもやっぱり、中にはそうじゃないのもあると思うのよ。なんで気になったん?

松田:つまり、それがシンプルに解決できるものであればさ…例えばオーディエンスが多過ぎるのが嫌なら、毎日訪問者が1000ユーザーに達したらサイトを閲覧不可にするとかはできるやん。

あたまおかしい

中垣:なるほどね笑 でもそういう問題じゃないとは思う。もちろん構造的な問題はあるにはあると思うねんけど…

松田:はいはい。

中垣:だって論文とかじゃないからね。備忘録みたいな形でやってる以上、どうしても責任を取りきれない部分はあるというか…それこそ ピー の記事とか、あんなザルいことを発信するのは絶対にあかんねんけど、でも実際に起こっちゃうわけやん。

松田:あー、まあまあ。

中垣:…いや、でもどうなんかな。もしかしたらこれ松田にはあんまりない感覚なんかも知れへんけど、おれの反省として、大学生の頃に音楽の知識で周りをぶん殴り続けたっていうのがすごくあって

うん、ないです

松田:笑 まあ…分からんけど、でも中垣が今言ってたのって、確かにおれにはあんまない感覚やと思うねん。

中垣:うんうん。

白濱:でもさ、僕にとっての「ユーザーフレンドリー」は、松田にとっては「ユーザー+松田」フレンドリーってことだよね? それって公共とは違うの?

松田:いや、たぶんちょっと違う気がするんですよね。僕にとってのそれは「ユーザー+松田」フレンドリーじゃなく、「ユーザー+松田=松田」フレンドリーですね笑

白濱:笑

松田:で、いわゆる「公共」にはイコールの先の部分はないんですよね。僕が部分であり全体であるというのは、まさにそういう意味に他なりません。

Source: commmon

c 禅的公共観

松田:そういう形で、公にリフレクトして私がバグるみたいな、そういうことはあんまないかな…まあでもね、プライベートな部分でプラクティカルに困っているほとんどの原因も、またそこにある気はするけど。

中垣:まあそんな気はするよね。しかしそうやな、公私混同っていうか…でもそうか。公のふりして私のことを言って悦に浸るみたいな、そういうね

松田:うんうん。

中垣:しかもね、相手が解像度の低い人なら「自慢しかしないやんこいつ」って思うんやろうけど、言うてもおれがかなり知識があるから、聞いてて勉強になるって思ってた人も全然いたと思うねん。

松田:はいはい。

中垣:だからおれの側でも、結果として音楽に触れることになったんならそれでいいやんみたいな気持ちもあったのね。

松田:なるほどね。

c ハウス・ミュージックのプリミティヴな喜び

中垣:でもなんかね…やっぱあるよ。自分としてこれは伝えなければならないと思ってるとか、これは今伝えなければシンプルにまずいとか、そういう状況で何かを言うときにはもちろん迷いはないわけよ。

松田:うんうん。

中垣:でも、特にその必要性が明確にはないっていうときで、それでも伝えたほうがもしかするといいのかも知れないような場合、その状況でそれを伝えるというのはすごく難しいというか…

松田:はいはい。

中垣:そういう状況で、その裏側にある自意識みたいなのをコントロールするのがすごく難しいよね

松田:うん、なるほどね。

はよ悟りを開けとあれほど…

中垣:それが一対一の会話ならまだ、相手の反応も見ながらより適切な振る舞いができるねんけどさ。

2021年12月19日
Aux Bacchanales 紀尾井町

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